こんにちは。
お笑いの千原ジュニアさんが3月14日に入院、3月15日に特発性大腿骨頭壊死症の手術を行いました。芸能人では過去に堀ちえみさんや坂口憲二さんが発症。厚生労働省の特定疾患に指定されている病気です。
具体的には、大腿骨頭(太ももの付け根、股関節に組み込まれている、ボールのような形をした骨)の一部が、血流の低下により壊死する病気で、日本では年間約2000~3000人がこの病気と闘っており、主に30~50代に多いとされており、新患における男女比は、全体では1.8:1と男性がやや多い傾向にあります。
骨壊死が起こること、痛みが出現すること、には時間的に差があり、骨壊死があるだけでは痛みはありません。骨壊死に陥った部分が潰れることにより、痛みが出現します。なので、骨壊死はあっても、壊死の範囲が小さい場合などでは生涯にわたり痛みをきたさないこともあるようです。逆に言うと痛みが出るまで分からないよね・・・・。
どんな人がなりやすい?
研究によりかなり解明されつつありますが、まだ十分にはわかっていないとのこと。その中でも強い危険因子といわれているのが以下の2つ。
- 「ステロイド薬を一日平均で15mg以上程度(代表的なステロイド薬のプレドニゾロン換算)、服用したことがある」
- 「お酒を日本酒で2合以上、毎日飲んでいる」
大量に飲酒する方や、ステロイドの投与を大量に受けた方に比較的多く発生していますが、どちらにも当てはまらない人が発症することもあります。こういう記事を見るとついつい不安になりますが、『ステロイド薬はいろいろな病気の治療のために使用します。既に処方されているステロイド薬を勝手に中止したり、量を減らすと、元の病気が悪化することや具合が悪くなることがありますので、決して自己判断で中止したり減らしたりしないでください』と注意喚起されています。
主な症状
骨壊死に陥った部分が潰れて大腿骨頭に圧潰が生じたときに痛みが発生します。大腿骨頭壊死症の発生から症状が出現するまでの間には数ヵ月から数年の時間差があります。自覚症状としては、比較的急に生じる股関節部痛が特徴的ですが、腰痛、膝痛、殿部痛などで初発する場合もあります。 初期の痛みは安静によって2~3週で軽減することもありますが、大腿骨頭の圧潰の進行に伴って再び増強します。
今回のジュニアさんの場合も、おととしの10月頃に右足股関節の痛みを感じMRIをとったところ壊死を発見。薬などで対処し、一時は快方に向かったが最近になって再び症状が悪化。最近では足を引きずるほどのものだったとか。
治療法
年齢・内科的合併症・職業・活動性・片側性か両側性か・壊死の大きさや位置、など様々なことを考慮して決定しますが、治療法は以下の2つ。というか実質(2)の一択な気がします(;’∀’)
(1) 保存療法
症状が進むまで可動域は比較的保たれるため、積極的な可動域訓練は必要ない場合が多く、杖によるサポートや、体重維持、長距離歩行の制限、重量物の運搬禁止などに気を付け、薬で痛みを抑える。
しかし、これらの方法では圧潰の進行防止は大きく期待できないため、圧潰進行が危惧される病型では手術療法の時機を逸しないことが重要。症状が出現すれば、変形が進む前に手術療法を受ける方が治療効果は高くなる。
(2)手術療法
A.大腿骨内反骨切り術
大腿骨の転子間部で大腿骨頭及び頸部を内側に傾け(内反させ)たときに、壊死部が内側へ移動し荷重部からはずれる場合に適応がある。骨切りの形状に工夫をした大腿骨転子間弯曲内反骨切り術では合併症が少ないとされている。
B.大腿骨頭回転骨切り術
大腿骨頚部軸を回転軸として大腿骨頭を前方あるいは後方に回転させることで壊死部を荷重部から外し、健常部を新しい荷重部とする方法。また、同時に大腿骨頭を内反させることにより、寛骨臼荷重部に対する健常部の占める割合をさらに増やすことができる。
C.人工関節置換術
圧潰した大腿骨頭を人工骨頭で置き換えたり、股関節全体を人工股関節で置換。骨切り術に比べて早期から荷重が可能で、入院期間も短期間ですむが、人工物自体に耐久性の問題があり、将来再置換術が必要になる可能性があることを念頭に置く必要がある。
↑今回のジュニアさんや、坂口憲二さん、堀ちえみさんは、この人工関節を入れる手術を行っています。手術時間は1~2時間とのこと。人工関節を入れる手術は、骨を切って回転させる方法よりも、すぐに退院し動ける反面、耐久性の観点から人口関節自体を取り換える手術をまた受けなくてはいけないようですね。若年層には骨を切る方法を出来るだけ実施しているようです。
早期発見をするには?
早期には単純X線(レントゲン)で変化が見えないので、股関節の痛みが治らない、原因がわからない、といった場合にはMRIをとってもらいましょう。ただ、特発性大腿骨頭壊死症は、比較的急性に発症しますので、関節の変形による機能障害は初期にはあまり見られません。なかなか見つけにくい病気のようですね。
人口関節の手術を2015年(2018年引退時に、手術後3年間は症状が軽減している、と書いてあったので2015年と推測)に実施した坂口憲二さんは2020年には元気にサーフィンを楽しんだりしているので、術後の経過は良好なのでしょうね。
ジュニアさんも早く回復されることを願っております☆
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